『火の鳥』手塚治虫

投稿:2020/04/01
巨匠、手塚治虫が32年間にわたって書き続けた超大作『火の鳥』です。
初めて読んだのは小学生の学級文庫にて。歴史、科学、芸術、宗教…宇宙から素粒子までをも横断して生命観を綴るスケールに圧倒され、当時は漫画家を目指していたほど。
大人になれば少しは先生に近づけているだろうか、と夢見たものですが、今となっては漫画家を志していたことは忘れ、いっそう差は開いておりました。
これだけ重厚な内容ですから、文庫版だと濃縮されて味濃い感じがします。近年、この大判を大人買いしましたがおすすめです。少年誌をよんでいるような、マイルドで接しやすくなる気がします。
大人になってから知ったのですが、一巻完結のようで、全体を俯瞰してみると過去→未来→より現在に近い過去→より現在に近い未来…と振り子が揺らぐように現代に近づいていく構造になっているのです。結末は描かれず、手塚自身の死という形で現代は表現されました。振り子を揺らしましょう。僕らは生きています。
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